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閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

MET《ホフマン物語》

スペクタクル 音楽 クラシック 演劇 オペラ


2014-2015 | 演目紹介 | METライブビューイング:オペラ | 松竹

メトロポリタン・オペラ

Jacques Offenback, Les Contes de Hoffmann

  • 指揮:イーヴ・アベル
  • 演出:バートレット・シャー
  • 出演:ヴィットーリオ・グリゴーロ(ホフマン)、ヒブラ・ゲルツマーヴァ (ステラ/アントニア)、ケイト・リンジー(ニクラウス/ミューズ)、トーマス・ハンプソン(4人の悪役)、エリン・モーリー(オランピア)、クリスティン・ライス(ジュリエッタ)
  • 上映時間:3時間35分(休憩2回各10分含む) [ MET上演日 2015年1月31日 ]
  • 言語:フランス語
  • 映画館:新宿ピカデリー
  • 評価:☆☆☆☆☆

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 久々にMETライブビューイングを見に行った。新宿ピカデリーでは午前10時から上演がはじまるがかなり大きな部屋にもかかわらず高齢者を中心に客席は七割方埋まっていた。完全に定着した感じで、よい席で見たいのであれば事前予約必須だ。

 オペレッタの作曲者として絶大な人気を誇っていたオッフェンバックが残した唯一のオペラ作品である《ホフマン物語》。ドイツロマン主義の作家、ホフマンを語り手にして外枠を設定し、彼が書いた短編小説三編がその枠内で提示される。作者であるホフマンは、作品のなかで三人のタイプの異なる女性との恋愛を遍歴する。その彷徨はベアトリーチェを追い求める『神曲』のダンテ、あるいはメフィストに導かれ人の世を巡るファウスト博士の姿を連想させる。

 オッフェンバックは一九世紀後半、第二帝政期のパリが育んだ驚異的な怪物であり、正真正銘の天才だ。軽やかで朗々たる音楽の調べは、物語の展開と緊密に結びつき、ダイナミックなドラマを作り出していく。バートレット・シャーの演出は、各幕ごとにまったく異なった雰囲気の景色を提示するが、観客をくらくらさせるような幻惑的なスペクタクルだ。ホフマンを演じたグリゴーロの魅力的なパフォーマンス、そしてニクラウス/ミューズを演じたメゾソプラノのケイト・リンジーの美貌と演技力にも感歎した。

 二幕のアントニアの場は多少単調で眠くなったが、一幕のオランピアの人形振りと超高音、三幕からフィナーレにかけての流れは圧巻だった。序幕と終幕での外枠の部分の演出も優れていて、作品構造が明瞭に浮かび上がり、終幕のクライマックスが盛り上がった。