閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

消失

NYLON100℃ 27th SESSION

評判のよい舞台.通路席まで埋まる満員状態の劇場.3時間近い舞台を休憩なしのノンストップで上演.
NYLON100℃(「ヒャクドシー」とアナウンスしていたが)の舞台は初めて.舞台美術,音楽,ギャグの趣味など洗練されたセンスのよさを感じた.前半は定型的なギャグ中心に軽快に進める.いささか演技に類型を感じるが,出来のよいリズムのあるコント.中盤は意識的にスピードを落とし,前半のギャグのなかでさらっと触れられていた伏線の一つ一つがまたとりあげられ,展開はミステリー仕立てになる.そしてラストは躁的な軽やかさで進行していた前半のエピソードの数々とは全く対照的な,唐突な不条理な悲劇への転換.ソナタ形式の組曲のような整然とした構成を感じさせる緩急のリズム.役者の演技も隙がない.
ただしすべての伏線がラストで鮮やかに明らかにされたわけではなく,釈然としない気分が残る.無理やりラストでまとめたという感じ.SF的アイデアでの解決は少々ご都合主義のような感じもするが.
趣味のよさを感じさせる舞台と作品.ただその格好のつけかたには若干いやらしいすかした臭みも感じる.
もう一本は見てみたい.