閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

2020/11/28 カクシンハン・スタジオ+大山大輔『ロミオとジュリエット』@Youtube配信

 

作:シェイクスピア
演出:木村龍之介
翻訳:松岡和子

【出演者】
柳本璃音/根本啓司/大山大輔

三味線 鶴澤寛也
音楽  平本正宏

【日時】

2020年11月28日(土)18時
カクシンハン公式YouTubeチャンネルにて無料生配信

舞台監督=株式会社URAK 照明=伊藤 孝(株式会社ART CORE)音響=島貫聡
美術=乘峯雅寛 作曲=平本 正宏 稽古場アシスタント=下村天瞬 制作=藤田 侑加
映像(撮影・編集)=株式会社TASCO 宣伝美術=森 裕之 企画協力=石本千明
制作・共催=株式会社トゥービー・エジュケーション 主催=株式会社トゥービー

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Youtubeでの映像配信。三人の出演者による70分に圧縮された『ロミオとジュリエット』。柳本凛音と根本啓司という若い俳優二人がロミオとジュリエットを演じ、オペラ歌手の大山大輔が複数の役を担当する。ジュリエット役の柳本は、すらっとした体形で、ショートヘア、意思の強さを感じさせるきりっとした顔立ちの中性的な見た目。雑味のないすっきりした健やかな美しさが印象的だった。台詞は少々一本調子に感じられたが、声には張りがあってよく届く。自信に満ちた堂々たる芝居ぶりがよかった。70分という圧縮された時間、スピード感あふれる展開のなかで、二人の俳優の若々しさによって、ほとばしるような恋愛の喜びが表現されていた。数役を演じた大山の演技力も素晴らしい。達者な声色や表情の変化で、あふれるような勢いの若い二人の愛の物語の外枠をきっちりと固める。鶴澤寛也の三味線も要所でならされることで芝居のアクセント、リズムを作り出していたが、せっかく鶴澤寛也を入れたのだから、ポイントを印象付けるアクセントとしてではなく、三味線音楽や義太夫がもう少し全面に出たほうがよいようにも思った。
無観客でYoutubeでの無料映像配信だったが、多数のパイプ椅子で半円状の壁を作り、その前面は大量の古新聞の紙屑で埋めるという舞台美術のなかでの上演だった。小道具は文具や玩具などを見立てて流用する。今の日常と古典の虚構を強引に結びつける木村龍之介ならではの仕掛けだ。大山大輔、鶴澤寛也の存在のみならず、スピードとリズムのあるセリフのやり取りも含め、小編成のモダンな《オペラ》を思わせる舞台だった。Youtube生配信の技術的問題で、音のづれがあったこと、映像が粗かったことが残念だ。いつか生の舞台で見てみたい。