- 制作年:1989年
- 制作国:オーストリア
- 時間:111分
- 脚本・監督:ミヒャエル・ハネケ
- 美術:マックス・ポループカ
- プロデューサー:ファイツ・ハイドシュカ
- 劇場:渋谷 ユーロスペース
- 評価:☆☆☆☆★
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多少暗い影はあるもののごく平凡そうな中年夫妻と小学生ぐらいの可愛らしい娘の三人家族の三年間の軌跡を描く.最初の二年は同じような平凡極まりない,そして退屈な家族の日常が繰り返されるだけ.妻が涙を流すシーンなど不幸を暗示するごくささいな情景がいくつか挿入されるもののそうしたシーンの背景は説明されない.
三年目の場面が始まると,文字通り息を呑みスクリーンに釘付けになってしまう.息苦しくなるような密度で,徹底的で空虚でこちらの解釈を断固として拒否するような破壊が執拗に描かれる.説明不足で不可解な部分を多く含む作品である.しかしその不可解さ自体が人間の心に巣くう不愉快なおぞましさの暗喩になっているような,衝撃的な作品だった.映画終了後しばし呆然とする.