閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

国盗人:W.シェイクスピア「リチャード三世」より

http://setagaya-pt.jp/theater_info/2007/06/post.html

気鋭のシェイクスピア研究者である河合祥一郎が『リチャード三世』をもとに作った翻案作品。多彩な照明と舞台空間の使い方、独創的な衣裳、お囃子の音楽、狂言の技術、娯楽性の高い仕掛けの数々、白石加代子という怪物女優の存在感等々、豊穣という単語がふさわしい演劇的創意に満ちた舞台だった。野村萬斎の演出家としての発想の豊かさと役者としての力量(今回はちょっと大槻ケンヂみたいだった)を十分に感じ取ることができた。
しかし三階席という座席位置の問題か、あるいはこちらの体調の問題か、その創意に満ちた舞台に見合うだけの感興を覚えることはなかった。大した作品だなぁ、意欲作だなぁ、と感心しつつも、今ひとつのめり込めない。前半はうつらうつらと睡魔と戦う始末。常に暗めの照明が眠気を誘う要因だったとはいえ、今日は体調十分で観劇に臨んだつもりだったのだけれども。難点を言えば、仕掛けが過剰すぎて劇の展開が若干散漫に感じられたところ、白石加代子はいつもながらの存在感で芝居を引っ張っていたものの今回の複数役は演出のもくろみほどんは成功しているように見えなかったところ(やっぱりわかりにくくなってしまった)、などがあるのだけれども。