http://www.theatrical-kara.jp/cast.html
67歳の唐十郎の笑顔はとても可愛い、そしてとても怖い。
演劇人を追うドキュメンタリーということもあって、必然的に演技と素の境界があいまいになる。プロの演じ手であるならば、自分が「撮られている」ことへの自意識は決して抹消できないだろう。多かれ少なかれカメラの前では人は何かを演じてしまうものだと思うが、その対象が演劇人ならなおさらである。
素と演技の交錯に幻惑されながら、その韜晦の向こう側に真実を感じ取るしかない。
晩秋の新作台本の完成から、その翌年の春公演までの唐組の半年間を追う。物語を作る才能を持った人はやはり偉大だ。唐は劇団の王様のごとく君臨する。劇団員は彼の気まぐれに振り回され、彼の顔色を伺う。
最後の最後にこのドキュメンタリーは演劇的に再現されたセルフ・パロディであることが唐の口から明らかにされる。
唐の長女の名前は「ミニオン」であることを知る。漢字は「美仁音」だったと思う。凄いなぁ、唐はやっぱり!