閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

ダムタイプ《S/N》

dumb type
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2008/S_N/index_j.html

  • 出演:石橋健次郎、鎌田いずみ、小山田徹、ピーター・ゴライトリー、砂山典子、高嶺格、田中真由美、古橋悌二、薮内美佐子

−1995年スパイラルホール(東京)での公演のライブ映像

  • 上映時間:85分(2005年再編集版)
  • 評価:☆☆☆☆★
  • 会場:初台ICC4階シアター
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初台のオペラ・シティ4階のICCシアターでの特別上映。無料公演。週末のみ、21日まで。
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2008/S_N/index_j.html

ダムタイプの中心メンバーだった古橋悌二が自らのHIV感染を核に、その死生観、性愛観を、映像、舞踊、インタビュー(?)といった複合的形式によるコラージュのようなかたちで表明した作品である。1994年に初演されたが、その翌年、古橋はHIV感染による敗血症で35歳の若さで急逝した。


《S/N》はエイズに伴う「性と死」という主題の性格を反映し、極めて私的な語りと公共性の高いメッセージ、猥雑さと崇高さ、生真面目と冗談という対立が、舞台上で混沌としたかたちで表現される。舞台を並行する形で壁(塀)が設置され、その壁の上が舞踊的パフォーマンスの主な場となる。壁と背景には映像が映し出される。壁の手前の舞台前方もパフォーマンス空間となる。ときに複数の場で同時に異なるパフォーマンスが演じられることもある。

圧巻なのはストロボ・ライト、あるいは背景からの照明でシルエットになった演者たちが、壁の上で激しい運動をしばらく行ったあと、急に脱力したように動きをとめ、そのまま仰向けに倒れこむようなかたちで壁の後ろへ消えていく動きの連続である。ぎゅーっと緊張して激しく動いた後、突然気を失って、重力にしたがってすーっと後ろ側へ次々落ちていく、その有様は鮮烈で、見ているこちらの呼吸が止まってしまうかのような強烈なインパクトがある。