人形劇団プーク
http://www.puk.jp/
みにみに劇場vol.1五味太郎
- 原作:五味太郎
- 脚色・演出:岡本和彦
- 美術:佐久間弥生
- 音楽:吉川安志
- 上演時間:25分
- 作者: 五味太郎
- 出版社/メーカー: 絵本館
- 発売日: 1979/11
- メディア: 単行本
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『こぎつねコンとこだぬきポン』
- 原作:松野正子(文)、二俣英五郎(画)
- 脚色・演出:星野毅
- 美術:人見順子
- 音楽:堀井勝美
- 効果:宮沢緑
- 上演時間:45分
- 作者: 松野正子,二俣英五郎
- 出版社/メーカー: 童心社
- 発売日: 1977/09/01
- メディア: 単行本
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〈共通〉
- 照明:安部千賀子
- 出演:山田はるか、荒川純子、市橋亜矢子、岡本和彦
- 劇場:新宿 プーク人形劇場
- 評価:☆☆☆☆
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7歳娘と3歳息子を連れて見に行く。息子は初プーク。息子は去年の冬、円のこどもステージに連れて行ったのだけれど、客電が消えるとおびえはじめ、開始10分で大泣き、結局、途中退場してしまったのだ。
7月に映画『ポニョ』を見せたときは大丈夫だったけれど、今日はちょっと不安もあった。お姉ちゃんとふたりでこども席で鑑賞させる。最初はちょっとどきどきしてたみたいだけれど、最後まで飽きることなく大人しく見ることができたようだ。
ナンセンスで筋らしい筋のない短編三本からなる「みにみに劇場」と休憩をはさんで、『こぎつねコンとこだぬきポン』の二本立て。
プークのこども向き演目は、最近は1月に見た「すてきな三人組」以外は若干低調だなと思っていたのだけれど、今回のプログラムは楽しんでみることができた。プークを見たことのない人にも薦めてみたくなるような楽しい舞台だった。ナンセンスものとお話ものの組み合わせもよかったと思う。
前半は25分ほど。巨大な積み木を使った抽象的な美術をつかって三演目が連続して演じられた。プークのマスコットの「プー吉」(だったけ?)と犬の「ちび」が待ち合わせをしているのだけれどすれ違いでなかなか出会うことができない。ふたりがそれぞれ退出し、入場のたびにスケボーや自転車、自動車や飛行機など、さまざまな乗り物にのて登場するという趣向の出し物がオープニングだった。僕は後ろの大人席だったので様子はうかがうことが出来なかったのだけれど、乗り物好きの息子は「次は何に乗ってでてくるのかな?」とわくわくしながら見ていたのではないだろうか。
続いて五味太郎の絵本『さる・るるる』、『いっぽんばしわたる』の人形劇翻案版。どちらも台詞のないナンセンス芝居。『さる・るるる』では愛らしいさるが、「さる」韻にあわせた「さる」「はいる」「すわる」などの動作をナレータの発声と同時にコミカルに大なう様子を楽しむもの。『いっぽんばしわたる』は、うさぎ、あひる、かば、あぶ(?)といった動物が一本橋をわたって向こう岸にある花を見に行く、ただそれだけの芝居。かばがわたるときに一本橋が大きくたわんで、おっとっとっととなる様子などを面白がるという趣向である。ものすごくたわいのない演目ではあるが、人形の造形や動きがとても可愛らしくて、大人が見ても思わず笑いが漏れる。娘の話によると、3歳の息子は『いっぽんばしわたる』を一番喜んでみていたそうだ。
15分の休憩を挟んで、後半は45分のお話もの。深い谷を挟んでむきあった山に住むこぎつねの女の子とこだぬきの男の子が仲良くなる話だ。深い谷ゆえにこの二つの山は行き来することができなかったのだけれど、嵐の夜に雷で木が倒れ、二つの山を一本橋で結んでしまった。前半の「いっぽんばしわたる」とここでつながりを持つ。
本来敵対する動物同士が仲良くなる、というお話はよくあるのだけど、この話は登場人物がきつねとたぬきだけに、互いに化けあって役割が入れ替わるという仕掛けが加わる。両者の変身競争の場面がおかしかった。もうちょっとしつこくやって笑いをとってもいいかなと思ったが。
こぎつねはこだぬきに化けてこだぬきの家で、こだぬきはこぎつねに化けてこぎつねの家で一夜過ごすはめになる。二人の優しさで、敵対していた親同士も種族を超えて和解しあい、二つの山を結ぶ立派な橋を建設し、きつねとたぬきは仲良く暮らすようになった、というお話。《はしをつくろう!》というテーマ・ソングのほか、オリジナルの挿入歌がとても可愛らしくてよい曲だった。こういう部分にお金を惜しまないというのはとても大事なことだと僕は思う。書割の美術の絵や背景の紗幕に映し出される絵もやわらくていい感じだった。
安定感を感じる舞台だった。息子が恐がらず、退屈もせずにちゃんと最後まで見ることができたのも収穫だった。お正月の公演もこのぶんだと大丈夫かな。「こやぎと狼」「だるまちゃんとてんぐちゃん」、どちらも安定した出し物のようだし。