三条会のアトリエ公演、プルーストの大長編『失われた時を求めて』演劇化の第2コース。
「花咲く乙女たちのかげには」は語り手の10代前半から中盤にかけてのプラトニックな恋の記憶である。前半では語り手の一家と親しい付き合いのあったブルジョワのスワン夫妻の美しく高慢な娘、ジルベルトに語り手が翻弄される話。後半は語り手が祖母と出かけたノルマンディの海岸の町、バルベックで出会った少女たちとの交流。彼はその少女たちのなかからアルベルチーヌに恋をする。
三条会版では前半部は、語り手が観た『フェードル』の舞台の劇中劇を核に小説の世界が再構成されていた。後半は海岸の映像を背景に投影しつつ、小説のなかの短いエピソードが読み上げられ、点をつなぐようにバルベックでの少女たちとの交流が再現される。
三条会の表現にはいつもとまどいを感じるのだけれど、今日はとまどったまま置いてけぼりをくらってしまった。表現がしっくり来ない。全体にエネルギーに乏しく欲求不満を感じる。ピンク・フロイドの音楽が始終流れる。