閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

屋根裏の床を掻き毟る男たち Floor in Attic

演戯団コリペ

  • アートディレクター:李潤澤 Lee youn-Taek
  • 作:金志勲 Kim Ji-hoon
  • 演出:Lee Seung-heon
  • 上演時間:90分
  • 劇場:新宿 タイニイアリス
  • 評価:☆☆☆☆
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韓国2009年度ベストプレイに選ばれたそうだがそれも納得の奔放、はちゃめちゃでエネルギーに満ちた芝居だった。90分。
狭い屋根裏に「焦げついた」かのような無為な日々を送る4人の男たちの物語。坂手洋二の傑作「屋根裏」を想起させるが、この韓国釜山版「屋根裏」の泥臭さ、不潔さ、猥雑さときたら恐るべきものだ。舞台美術、照明、音楽の使い方の洗練と野性味あふれる役者たちの組み合わせが、濃厚でアクの強い独自の演劇世界を作り出している。演劇性のエキスが濃縮されたような作品だった。
「どこまで演劇が好きなんだ、こいつらは」と言いたくなるほどの演劇バカぶりが伝わってくる芝居だった。破壊力抜群の笑劇であり、社会風刺劇でもある。ちょっとゴキコンを思わせるようなところもある。グロテスクで重い笑い。タイニイアリスのオーナーの西村さんは韓国俳優の尋常でない暴れ振りに大喜びしていた。

言葉がわからなくても十分面白いし、その凄みは伝わってくる芝居だが、字幕があればなあと思った。劇団側の判断で字幕をつけないことになったそうだが。もっと深く楽しむことができただろうに。この芝居のラディカルな表現の面白さ、もっと多くの人に知って欲しい。