閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

青☆組『人魚の家』

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  • 作・演出:吉田小夏 
  • 美術:濱崎賢二(青年団) 
  • 照明:伊藤泰行 
  • 音響:泉田雄太 
  • 出演:藤川修二(青☆組)、井上裕朗、荒井志郎(青☆組)、小瀧万梨子(青年団)、大西玲子(青☆組)、田村元、佐佐木美奈、吉田圭佑、渋谷はるか文学座) 
  • 上演時間:110分 
  • 劇場:こまばアゴラ劇場 
  • 評価:☆☆☆ 

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芝居を見に行くと7割くらいの確率で眠くなってしまう。照明が暗くて、静かな芝居だとだめだ。青☆組の芝居はまさに暗くて静かな芝居だ。見ていて何度かすーっと意識を失いそうになった。

「未来のおとぎ話」という設定とのこと。雨が多い海辺の村が舞台である。この村には雨の日に、女の姿になった海の魚が地上に上がってきて村の男と結婚する、という伝承がある。この民話的素材を核に物語が展開する。この村の学校で学び、その学校で先生として教え、そして今は退職している人物の、少年期、壮年期、老年期の三つのエピソードが、錯綜していて若干わかりにくい。過去の二つの時間は、老齢でもうろうとした老人の頭のなかに浮かび上がる記憶のようだ。海の魚が女になって、雨の日に地上に上がってきて村の男と結婚する、という民話的素材を核に展開する。

 しっとりとした叙情の味わいは、絹のはだざわりを連想させるようなに滑らかで心地よい。細部まで作り手の慈しみが感じられる丁寧に作られた作品だとは思った。夜のいろり端で耳を傾けるような気分を味わうことができるintimeで、暖かく柔らかい幻想劇。しかし向田邦子をどこか連想させるようなレトロな雰囲気のドラマは、今の自分が求める演劇ではなかった。素材の選び方にせよ、物語の内容にせよ、あの心地よさからは、ひねくれ者の自分は疎外されているような気がしてしまう。