閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

2020/12/13 平原演劇祭2020第7部 「宮沢賢治未完成短篇集 #それはだいぶの山奥でした 」@ギャラリィ&カフェ山猫軒

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  • 2020/12/13(日)12:10-16:00
  • ギャラリィ&カフェ山猫軒(埼玉県越生町龍ヶ谷137-5、@yamaneko_ogose)
  • 1000円+投げ銭
  • 演目:「サガレンと八月」「小岩井農場 先駆形A」「みぢかい木ぺん」「学者アラムハラドの見た着物」
  • 出演:ひなた、はなの、青藍、小阪亜矢子

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今回の平原演劇祭の会場は埼玉県の越生町(おごせまち)の山中だった。川越のさらに奥にある坂戸駅が始発の東武越生線の終着駅である越生駅からバスに15分ほど乗り、さらに降りたバスの停留所から2.2キロ山中に入ったところにある山猫軒という知る人ぞ知るギャラリー兼カフェの周辺がメイン会場となる。

越生は梅林で有名らしいが、私はその場所も地名の読み方も知らなかった。公演のタイトルにあるように「 #それはだいぶの山奥」ではあったけれど、東武東上線の成増が最寄り駅の私のうちからは比較的行きやすい。バスの接続時間さえよければ、家から90分ほどで行けるところだった。

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公演会場の最寄りのバス停からさらに三キロほど奥に行ったところにある黒山三滝も一時間ほどで回れる面白いスポットだと案内にあったので、公演前にそこも回ってみることにした。

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黒山三滝は越生駅発のバスの終点にある。私以外にもう一人、平原演劇祭の観客の方が同じバスに乗っていて、この方と滝をまわることにした。

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なだらかな山道だけれど、しばらく歩くと両側は山の斜面の木がうっそうと生い茂っていて、晴れの日中にもかかわらず道は薄暗くなる。まず一番下流側にある天狗滝を見学しにいった。

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特に険しい道ではなかったのだけど、足下は石がゴロゴロしていて歩きにくい。転ばないように気をつけなければと思い歩いていたのだけれど、足をねじってしまい右側にごろりと倒れてしまった。そのときに右手を変なふうについてしまった。また右側のお尻をかなり強く河原の石にぶつけてしまった。

「大丈夫ですか?」

と近くにいた人が寄ってきて、「はい、大丈夫です」と言って起き上がったもののぶつけたお尻とひねった手首が痛い。しかしがまんできないほどではない。

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 そのままさらに上流にある男滝、女滝を見学して、山のふもとにもどった。twitterで高野竜さんに連絡して、車で黒山のバス停まで迎えにきてもらった。

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f:id:camin:20201213110617j:plain黒山三滝はうっそうとした物寂しい渓谷なのだが、知る人ぞ知る景勝地なのか、レトロでしぶいお土産物屋さんや食堂が道沿いに何軒かならんでいて、家族連れのすがたもあった。こんなところで無様に転んでしまうなんて、情けない限りだ。

迎えに来た高野竜さんの車で、平原演劇祭公演開始場所の麦原入り口バス停まで戻る。今回は観客と出演者で合わせて15名ほどか。僻地感が強かったためか、実際にパフォーマンスに何らかのかたちで関わっていない「純粋」観客は5-6名だったかもしれない。平原演劇祭の場合、上演の状況と演目の特殊性から観客も「内輪」に取り込まれしまうのだが。

メイン会場らしいギャラリィ&カフェ山猫軒は、麦原口のバス停から2キロほど山のなかに入ったところにある。まずは歌手の小阪亜矢子が、その2キロほどの山道を登りながら、「サガレンと八月」と「小岩井農場 先駆形A」を朗読したり、楽器を演奏したり、歌ったりする。途中、高野さんの盟友のミュージシャンの酒井康志が演奏に加わったりすることもあった。

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スタート地点から数百メートルいったところの川の中での芝居もあった。しかし川のなかでいったいどんな台詞が話されているのかはまったく頭に入ってこない。

f:id:camin:20201213125529j:plainふもとから山猫軒までは2キロ強の距離で、山を登っていくとはいえ、道は舗装されてある。たいしたことはないやと思っていたのだけれど、勾配はきつくないとはいえ、上り坂をだらだらと上っていくのは思っていた以上に肥満で運動不足の私には大変なことだった。小坂さんはよく歩きながら、パフォーマンスを続けたものだと思う。滝で転んだときのお尻も痛いし、手首もじんじん痛む。読み上げられたり、歌われたりするテクストの中身はまったく頭に入ってこなかった。ただひたすら上るので精一杯。

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四〇分ほど上ってようやく山猫軒に到着。ポツンと一軒だけ山のなかにある。オーナーの主人はギリヤーク尼ヶ崎のパフォーマンスの写真集を出した人らしい。ギャラリーで絵などの展示の他、音楽のライブや録音もしばしば行われる知る人ぞ知るスポットのようだ。到着したときは、私は汗だくで息を切らしていた。

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山猫軒の建物のまえで、「みぢかい木ぺん」の朗読があった。朗読したのは小学生だということをあとで知った。すらすらと問題を解いてしまう魔法のぺんのはなしだが、未完小説なので唐突に途中で終わってしまい、投げ出されたかのような気分になる。この朗読が終わった後、九〇分ほどの食事休憩となった。

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山猫軒の内部は上の写真の通り。お洒落な山小屋という感じ。オーナー夫妻で切り盛りをしている。昼食は私は古代米カレーを食べた。具は野菜のみ。普通においしいカレーだが、特に特徴があるというわけではない。ボリュームは私にはちょっと不満。

休憩のあと、山猫軒の裏山の山道を登っていく山中行軍演劇となった。この頃には気温が急激に下がって、かなり寒くなっていた。
ひなたが木が生い茂る山道を登り、観客を先導しながら、「学者アラムハラドの見た着物」を声色を使い分けて演じる。

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朗読ではなくて、ひなたは学者アラムハラドを演じ、ハーメルンの笛吹きのように観客たちを山道へと導いていく。

最後は小さな谷を越え、かなりの斜度の斜面を登っていった。私はお尻と手首の痛みゆえに、谷を渡らず登ってのを見ていた。10名ほどがひなたに続き、この森の急斜面を憑かれたようにひなたについて登っていく光景がとてもよかった。

 

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しかしよくもまあこんな場所でロケハンして、事前に稽古したものだと思う。帰りはバス停まで歩いて戻る。行きの上りのときは気づかなかったが、けっこうな急斜面で距離もある。上るのがしんどかったはずだ。

越生駅に着いたのは午後五時過ぎだが、ホームには誰も居なかった。

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右手首の痛みは時間が経つにつれてひどくなった。ただひねっただけではないことは明らかだ。翌日、整形外科に行くと、骨にひびが入っていて全治一ヶ月とのこと。やれやれ。初骨折だ。
翌週の12/20(日)には、平原演劇祭2020第8部#鋸山演劇だったのだが、新宿から浜金谷に向かう特急新宿さざなみが事故のため運休してしまい、怪我の痛みもあって気力が衰えてしまっていた私は行くのをやめてしまった。

無念だが、行った人たちのレポートを読むと、体力的な過酷さは越生山中演劇よりはるかにきついものだったようなので、私は行かなくて正解だったかもしれない。

 
 
 
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