若い芸術家の肖像

若い芸術家の肖像 (岩波文庫)

評価：☆☆☆★

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ジョイスが自身の幼い日から、大学時代までの精神的成長の様子を、その当時の言語的状況を写し取ったかのような文体で回想・記述していく。芸術家としての道へと至る重要な出来事、日が、各章で選びとられている。主人公の早熟さと繊細さ、純粋で熱い美学的思考への熱中、豊富なラテン語の引用句などのペダンティックな装いと重厚な教養主義的な雰囲気にたじろぐ。