閑人手帖

このブログは私が見に行った演劇作品、映画等の覚書です。 評価、満足度を☆の数で示しています。☆☆☆☆☆が満点です。★は☆の二分の一です。

2005-01-01から1年間の記事一覧

屋上庭園/動員挿話

作:岸田國士 演出:宮田慶子(屋上庭園)深津篤史(動員挿話) 美術:伊藤ともゆき 衣裳:半田悦子 照明:礒野睦 出演:七瀬なつみ、神野三鈴、小林隆、山路和弘、遠藤好、大田宏 劇場:初台 新国立劇場小劇場 The Loft 評価:☆☆☆☆☆ - 日本の近現代劇に大き…

暇中に時は早く過ぎる

ら抜きの殺意

永井愛(光文社文庫、2000年) 評価:☆☆☆★ - 作品の初演は1997年テアトル・エコー。 らぬき言葉が国語審議会で取り上げられたのは1995年のこと。この作品の初演時にはけっこう方々で話題になった。いまでもときおり話題となる。 関西出身ということも影響し…

11ぴきのねこ

原作:馬場のぼる 脚本・演出:遠藤えいぞう 作曲:樹原涼子 照明:白土真平 衣裳:えみこ 出演:纓田徳二、石原和枝、小林美枝、遠藤栄蔵他 場所:大山 板橋区立文化会館小ホール 評価:☆☆☆ - 絵本の古典となっていると言ってもよいくらい長年にわたって支…

北斎展

http://www.hokusaiten.jp/index_jp.html 上野の国立博物館庭園でク・ナウカの『オセロー』を観る予定だったので、開場までの時間つぶしに早めに博物館に行き、開催中の特別展「北斎展」を観に行った。北斎の70年間におよぶ画家生活(90歳まで生きていた人だ…

ク・ナウカで夢幻能なオセロー

http://www.kunauka.or.jp/jp/index.htm 原作:シェイクスピア 謡曲台本:平川祐弘 演出:宮城聰 間狂言:小田島雄志訳による 照明:大迫浩二 衣裳:高橋佳代 出演:美加理、阿部一徳、中野真希、大高浩一、大道無門優也 場所:東京国立博物館 日本庭園 特設…

上野で夕刻

人情噺文七元結

口演:三遊亭円朝(1902) 作:榎戸賢治 出演:幸四郎、染五郎、宗之助、鐵之助 評価:☆☆☆☆ - 人情噺の歌舞伎化。ありえないようなうまくいきすぎのハッピーエンド。人物の性格も、振る舞いも喜劇的に誇張が施されているのだが、こうした「作り事」めいた仕…

うかれ坊主

出演:富十郎 評価:☆☆☆ - 昼食の幕間を挟んで舞踊。退屈するかなと思っていたが、吉右衛門の「雨の五郎」は女郎屋の奴たちとの立ち回りを取り入れた派手な舞踊もあり、変化があって面白い。舞踊の設定が笑える。曽我五郎は廓の遊女と恋仲で、女からの手紙を…

雨の五郎

出演:吉右衛門(雨の五郎) 評価:☆☆☆☆

熊谷陣屋

作:並木宗輔、浅田一鳥他(1751) 出演:仁左右衛門、梅玉、秀太郎、左団次、弱右衛門 評価:☆☆☆ - 義太夫狂言の定番の一つ。主君のために我が子の命を差し出すというモチーフがまた出てくる。今読んでいる中世南仏語の武勲詩でも我が子を殺して主君に忠義…

息子

作:小山内薫(1922年発表) 美術:織田音也 出演:染五郎、信二郎、歌六 評価:☆☆☆ - 日本に西洋演劇を導入し「新劇」として定着させ、築地小劇場を立ち上げた小山内薫については名前は聞いたことはあったけれど、その作品は読んだことも観たこともなかった…

吉例顔見世大歌舞伎 昼の部

http://www.kabuki-za.co.jp/info/kougyou/0511/11kg_1.html 行こうかどうか迷っていた十一月大歌舞伎昼の部公演。初心者向きのわかりやすい狂言として定評のある「文七元結」は見ておきたい気がしたけれど、他の演目にはあまり興味をひかれなかった。行って…

ほえる犬は噛まない

http://www.hoeruinu.com/ 製作年度:2000年 製作国:韓国 上映時間:110分 監督:ポン・ジュノ 製作総指揮:チャ・スンジェ 脚本:ポン・ジュノ、ソン・テウン、ソン・ジホ 音楽:チョ・ソンウ 出演:ペ・ドゥナ、イ・ソンジェ、コ・スヒ、キム・ホジョン、…

偶然の音楽

http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/05-2-4-32.html 原作:ポール・オースター 翻訳:柴田元幸 構成:台本・演出:白井晃 美術:二村周作 照明:齋藤茂男 出演:仲村トオル、小栗旬、三上市朗、大森博史、小宮孝泰、山田麻衣子、櫻井章喜、月影瞳 劇…

未来のおもいで

梶尾真治(光文社文庫、2004年) 評価:☆☆☆★ - 「時間」をテーマにしたSF。そこに切ないプラトニックな恋のエピソードを重ねる。 何日か前に読んだ『クロノス・ジョウンター』と同工異曲。 「時間」と「恋愛」を主題とする変奏曲のような感じである。さわ…

松竹110年祭

http://www.shochiku.co.jp/110/films/ 11/19より12/16までシネスイッチ銀座にて松竹の名画41本の特集上映。

砂と霧の家

製作年度:2003年 製作国・地域:アメリカ 上映時間:126分 監督:ヴァディム・パールマン 原作:アンドレ・デビュース三世 脚本:ヴァディム・パールマン、ショーン・ローレンス・オットー 音楽:ジェームズ・ホーナー 出演:ジェニファー・コネリー、ベン…

一夢庵風流記

隆慶一郎(新潮文庫、1989年) ISBN:4101174148 評価:☆☆☆★ - 秀吉から家康の時代を生きたかぶき者の快男児、前田慶次郎の活躍を描く時代小説。週刊誌での連載小説だったらしく、28の章それぞれに読ませどころがある。中世ヨーロッパの騎士道英雄譚を連想さ…

さらば、わが愛/覇王別姫

香港,1993年 監督:チェン・カイコー 脚本:リー・ピクワー 原作:リー・ピクワー、ルー・ウェイ 撮影:クー・チャンウェイ 美術:ヤン・ユーフー、ヤン・チャンチア 音楽:チャオ・チーピン 出演:レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー、ルォ…

クロノス・ジョウンターの伝説

梶尾真治(ソノラマ文庫、2003年) 評価:☆☆☆☆ - キャラメルボックスの冬公演の原作となった作品。キャラメルボックスの公演には行こうか行くまいか決めかねていたところなのだが、通りがかりに時間つぶしに入った書店でこの本が平積みされていたので何とな…

ブラウニング・バージョン

http://www.jitekin.com/html/kouen-joho.html#02 自転車キンクリートSTORE The Browning Version 作:テレンス・ラティガン 訳・演出:鈴木裕美 美術:横田あつみ 照明:中川隆一 衣裳:三大寺志保美 出演:浅野和之、内田春菊、今井朋彦、池上リョヲマ 劇…

風回廊

宇宙堂 http://uchyudou.moo.jp/300/kazekairou/kazekairou_index.htm 作・演出:渡辺えり子 音楽:Coba 美術:加藤ちか 照明:宮野和夫 衣裳:三茶小町 演奏:Coba(アコーディオン)、川波幸恵(バンドネオン)、西はじめ(津軽三味線)、片桐勝彦(フラメ…

歌わせたい男たち

二兎社 作・演出:永井愛 美術:大田創 照明:中川隆一 衣裳:竹原典子 出演:戸田恵子、大谷亮介、小山萌子、中上雅巳、近藤芳正 劇場:森下 ベニサン・ピット 評価:☆☆☆☆☆ - 200人弱ほど収容可能だと思われるベニサン・ピットの客席は通路席まで満員の盛況…

昆曲京劇公演@早稲田大学大隈講堂

出演:天津京劇院・新潮劇院(張春詳主宰) 演目:「乾元山;走辺一場」「挑滑車」「御馬監」 場所:早稲田 大隈講堂 評価:☆☆☆☆★ - 早稲田大学21世紀COE演劇研究センター・演劇博物館主催による京劇の無料公演。同団体主催で来月中村福助出演・演出でクロー…

貞操花鳥羽恋塚(みさおのはなとばのこいづか)

http://www.ntj.jac.go.jp/performance/6.html 作:四世鶴屋南北 補綴:国立劇場文芸課 演出:織田紘二 出演:中村富十郎、尾上松緑、坂東亀三郎、中村信二郎、市川男女蔵、中村梅玉 評価:☆☆☆★ - 四幕八場の通し狂言、上演時間は正味四時間。崇徳上皇と後白…

髪結新三(かみゆいしんざ):梅雨小袖昔八丈

http://www.zenshinza.com/stage_guide/kamiyuishinza/index.htm 作:河竹黙阿弥 指導:中村又五郎 演出:鈴木龍男 装置:高木康夫 照明:塚原清 出演:嵐圭史、中村梅雀、中村梅之助、河原崎國太郎、中嶋宏幸 劇場:吉祥寺 前進座劇場 評価:☆☆☆☆★ - 初の前…

東京ノート

青年団第34回公演(1998年) 作・演出:平田オリザ 美術:杉山至 宣伝写真:橋口穣二 出演:松田弘子、辻三奈子、志賀広太郎 場所:下北沢 ザ・スズナリ 評価:☆☆☆☆ - 先日観た『S高原より』が気に入り、その余波で図書館でビデオを借りる。作品初演は1994…

心中天網島:河庄(しんじゅうてんのあみじま・かわしょう)

作:近松門左衛門『心中天網島』:近松半二『心中紙屋治兵衛』 出演:鴈治郎、我富、田之助、翫雀(代役) 評価:☆☆☆☆ - 紀伊国屋小春を演じる予定だった中村雀右衛門が病気のためお休み。代役は中村翫雀。ふっくらとしておばさんぽい小春となった。いままで…

日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)

作:竹田小出雲、近松半二 美術:前田剛 照明:池田知哉 出演:玉三郎、薪車、菊之助 評価:☆☆☆☆ - 人形振りを楽しめる舞台。激しい感情表現を、無機的な人形の動きによって模倣するという歌舞伎独自の逆説の醍醐味を十分に味わう。 数年前、パリの太陽劇団…